アーカイブス 2007~楽しい人生

楽しい人生   2007ー0419
いまここまでやって来た
春の透明な空気にすべての困難を忘れる
何の取り柄か
今思えば愚かさばかりが眼について
それでもその時は一生懸命だったはず
一生懸命バカやってここにいる
後悔をしつつ
それでもこれしかなかった今の浅春

いまここまでやって来た
今のこの場所をあのとき想像できただろうか
黒い海岸に
落ち込んだ気持ちを投げたときの
君のいない惜春
変わらない自分を肯定して
時の流れだけがますます加速して
すべて夢の中に消えてゆく

いつの間にかここまで来た
相変わらず後悔の種を蒔きつつ
バカをバカとも感じなくなるその日まで
今日も加速の人生を渡っていく
危ういがおもしろい人生
何度目かの青春を駆け抜けていく
草木が目覚めて
人生を突っ走る陽春

春になろうとする時    2007-0330
湖や田圃やそこいらにただよう匂い
春の萌え
子供の頃小さな池で釣りをしたときの
あの香り
レンゲ畑に入った時の匂い

こんな匂いをかいで何年も過ぎた
いつまで嗅げるのだろうなんて
そんなことを少し考える
しかしたいして昔と変わらない心情に
情けないような少しうれしいような
人間なんて何年たってもちっとも変わらないと
少し愚痴ってみる

連翹の黄色の濃さが目にしみて
今までいい感じできたような
つまらないような気もして
少し刺激がほしくって町に出てみても
代わり映えしない喧噪にうんざりして
もう帰りたくなるスーパーの通路

本当の刺激はこんな所にないことは
わかっていて
それでも出てきて後悔する現在
きっと少し満たされていない今日
行き交う人々の笑顔がまぶしいのもそのせい

明日もまた来るかもしれない町並みを見ながら
帰りの車の中
冷たい風が頬を撫でる
少し変わりたいと思うこの頃
子供の頃の春の萌えが体を通りすぎた

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